バックアップをとる
ここではバックアップについて解説していきます。パソコンは不意のトラブルやエラーによってデータが壊れることがよくあります。それに備えて普段からバックアップをとる習慣をつけておけばいざというときに困らなくて済みます。
1.なぜバックアップが必要か?
パソコンの記憶装置であるHD、実は結構壊れることが多くあります。私のLOOXS5も、1年2ヶ月の間に2回もHDが壊れて、今は3代目のHDを使っています。また、Windowsのシステムのエラーによって一部のファイルが壊れたり、特定のアプリケーションのファイルが何回も上書き保存をしていたら壊れたりすることがよくあります。困ったことによく使うワープロソフトのファイルが結構壊れやすいので注意が必要です。
バックアップが必要なのは通常のエラーやトラブルだけではありません。それはウイルスへの備えという意味もあります。かなり破壊力の強いウイルスの中では、HDのデータを破壊するものがあります。そのウイルスに感染してしまったら、当然すべてのデータが消えるわけですからバックアップが重要になってきます。
あとバックアップが必要なケースとして、初期化やシステム変更(OSの切り替え)が挙げられます。Windows98をWindows2000やWindowsXPにアップグレードする場合は、自分で買ってきて行うわけですから、バックアップをとる機会があります。しかし、初期化の場合はいつ何時パソコンがおかしくなって初期化が必要になるかわかりませんから、不測の自体に備えておく必要があります。
パソコンはいつ壊れるかわからない。だからバックアップしておかなければならないというのは常識です。以下、主に外部の媒体を利用したバックアップ法を解説してまいります。
2.基本的なバックアップ法
ここでは、手動でファイルを他の媒体等にコピーする方法について紹介してゆきます。最近の傾向として、USBメモリや外付けハードディスクの価格がかなり下がったことです。なので、簡単に大容量のデータを保存できるようになりました。とりわけ、USBメモリが革命的に値下がりしています。大容量メモリを1本買っておいて損はないでしょう。
2-1 USBメモリを利用する(推奨度:★★★)
USBメモリとは、親指大の大きさのメモリのことです。USBポートにさせばすぐに使えるため、近年急速に発展しています。最近では1GB・2GBと言った大容量の製品が登場しています。また、1GBメモリでも5,000円出せば手に入ります。USB2.0ポートならば書き込み速度も早くなっています。簡単手軽・安価で大容量、USBポートを持つパソコンならどのパソコンでも使用でき、いいことづくめなので、バックアップにはUSBメモリが一番です。
ただし、USBメモリは小さいが故に、落とさないよう注意が必要です。紛失時のデータ漏洩を防ぐために、メモリにパスワードをかけることもできます(セキュリティー機能対応のUSBメモリを購入する必要有り)。
2-2 外付けHDを利用する(推奨度:★★★)
USB外付けハードディスクも、大容量化・廉価化が進んでおり、こちらの利用もお勧めです。USB外付けHDは、モバイル用のものと、家庭内の据え付け用の2タイプがあります。据え置きようのものの方が、同じ値段でも容量が大きく、家庭内での利用を考えている人ならばこちらの方がよいでしょう。モバイルタイプは丁度文庫本サイズのHDで、持ち運びに便利な分、容量は少なめです。目安として、据え置き用はデスクトップPCと、モバイル用はノートPCとだいたい同じ容量と考えて良いでしょう。モバイル用は外出にも使えます。
USBメモリでは不足する、大量の画像・音楽・映像データをバックアップするにはHDがお勧めです。また、大容量HDは本体のリカバリー用バックアップ領域にも使えます。
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2-3 CD-R/CD-RWを利用する(推奨度:★★★)
すでにどのパソコンにもCD-Rドライブが装備されていますので、これはバックアップに非常に便利で、大容量のデータをバックアップできます。また、読み込みもほとんどのパソコンでできるので便利です。
CD-Rで注意は、基本的にCD-Rは1回きりしか焼けず、書き換えもできない点です。といってもCD-Rメディアの単価は安いのでさほどデメリットではありません。CD-RWなら一回データを全部クリアしますが、何度でも書き換えができます。あまりこまめに焼くのは不便なので、数十MB以上のデータをまとめて焼いた方が便利でしょう。
なお、CD-Rには小単位で書き込みができるパケットライト方式もありますが、これは不安定な上にCD-Rメディア自体がエラーを起こすことがよくあるそうなのであまり使わない方がよいでしょう。こまめにデータをとるなら、FDかMOが便利です。CD-Rの利用はあくまでまとまったデータを一度にバックアップ、というのに限定されると考えた方がよいでしょう。
USBメモリも普及していますが、CD-Rは一枚50円未満で手にはいるため、非常に安価なメディアであると言えます。写真データの長期保存用に使えますし、また一緒に旅行にいったメンバーに写真を渡す際にCD-Rに焼くなどの方法も使えます。
2-4 DVD-R/RW・DVD+R/RWを利用する(推奨度:★☆)
DVD系メディアは、3種類ありますが、-R系と+R系は基本的にCD-R系と同じ使い方ができます。容量も4.7GBあり、大量のデジカメ写真のバックアップにも向きます。ただし、-R系と+R系で読めるドライブ・読めないドライブがありますので、若干注意が必要です。互換性は、CD系には劣りますが、次のDVD-RAMよりは勝ります。容量を考えれば、CD-RやUSBメモリよりもずっと安価な手段でもあります。最近のパソコンはDVD書き込み出来ることが多いので、当該機種をお持ちの方は、大事なデータはDVD-Rなどに定期的に保存されるとよいでしょう。ただし、DVD系は、次のカートリッジ付きのDVD-RAMを除いて、痛みやすいので取り扱いに注意が必要です。
2-5 DVD-RAMを利用する(推奨度:★★)
DVD-RAMは他のDVD系メディアとは異なり、ファイル単位で書き込み・修正が出来るメディアです。FDと同じ感覚で利用ができるので、非常に便利です。DVD-RAMには普通のDVD-Rなどと同じカートリッジなしのものと、ケースに入ったカートリッジ入りの2タイプがあります。カートリッジ式のDVD-RAMは、カートリッジ対応のDVD-RAMドライブが必要でありますが、両面書き込みが可能で、しかも耐久性に優れます。市販のパソコンでは、多くのドライブでDVD-RAM対応になっていますが、カートリッジ付きは未対応の場合が多いです。
と言いことづくめのようなDVD-RAMですが、一部に留意点があります。まず、DVD-RAMを使うにはそれに対応するドライブが必要なこと。初期のCD-RW/DVD-ROMコンボドライブでは、多くの場合DVD-RAMは読めません。また、DVD-RAMは書き込み速度がお世辞にも早いとは言えません。USBメモリが普及した今となっては、あまり優位性はありません。DVD-RAMはそれ対応のドライブを持っている人にのみ、お勧めというメディアです。
堅牢さで言えば、カートリッジ付きのDVD-RAMはメディアの記録面が露出していないことから、極めて頑丈なメディアです。MOにつぐ信頼性を誇っており、長期にわたるデータ保存はDVD-RAM(カートリッジ付き)でも十分に賄えます。なので、DVD-RAMの場合、ディスクタイプのものや、カートリッジから取り出して使うやり方はDVD-RAMの信頼性というメリットを相殺してしまうので、どうせDVD-RAMを使うならば頑丈なメディアが使えるカートリッジ対応のドライブを使うのがお勧めです(MOとは異なり、カートリッジ付き対応のDVDドライブの多くは、DVD±R系・CD系すべて使えることが多く、互換性は高いので)。
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2-6 フロッピーディスク(推奨:★)
かつてはこれが一番普通で、便利なメディアでした。しかし、容量が小さく、しかも最近のパソコンではFDドライブ未装備なことが多いため、今となっては、半分絶滅危惧種みたいな存在です。
とは言え、古い機種ではUSBメモリもDVD-Rも使えないことがありますので、その場合はFDが一番便利と言うこともあります。もはや、今となってはバックアップには用をなさない存在です。
2-7 MOへのバックアップ(絶対にデータを無くしたくない人向け)
MOは光磁気ディスクで、MDと似たようなものらしいです。FD同様、こまめに書き換えができる上、ディスクサイズが最大1.3GBと大容量なので非常に便利です。欠点としては普及していないので高価なこと、周りがMOを持っていなければデータの受け渡しなどには使えないこと、容量の小さいドライブでは大きなMOは読めない点があります。USBメモリも、外付けHDも、DVDも普及した今となっては、あまり魅力がありません。特に、メディアの価格は非常に高く(2.3GBで2,000円くらい。USBメモリなら2GBで3,000円くらいからあります)、価格面では割高感がぬぐえません。互換性、価格面では他の媒体と勝負になりません。
しかし、MOにも一つ他を圧倒するメリットがあります。それは極めて頑丈であるという点です。つまり、メディアが壊れにくく、データの長期保存に最適であるという点です。なので、MOに保存したデータは、よほどのことが無い限り消える心配がないという点です。堅牢なバックアップ手段を求める人には、なんと言ってもMOがお勧めということになります。
2-8 フラッシュメモリの利用(推奨:★★)
フラッシュメモリとは、小型大容量の記憶媒体の総称です。デジカメ用に開発されたメディアですが、小型で大容量なのでパソコンのリムーバルディスクとしても有望です。主なものに、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、SDメモリーカード、メモリースティックなどがあります。8MB,16MB,32MB,64MB.128MBと各種そろっています。バックアップやデータのやりとりに重宝します。コンパクトフラッシュでは最大1GBの容量があるものもあります。それぞれ専用の機械がないと読み書きはできません。一部のパソコンにはこれらフラッシュメモリ用スロットが装備されています(メモリースティックスロット、SDカードスロットなど)。
フラッシュメモリの中でも、SDは携帯電話の多くに使われているため、携帯電話との互換性もあります。SDスロット装備のパソコンを持っている方は、大容量SDをバックアップに使うのも良い方法です。自分のパソコンのスロットや、お手持ちのデジカメ、携帯電話を見て、最適なメディアを選べば、重宝すること間違いありません。
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2-9 インターネットストレージサービスの利用(推奨:★☆)
インターネットの高速化に伴って登場したサービスです。これは、インターネット上に自分のディスクスペースを設け、パソコンのHDとシンクロ(同期)をとって、パソコンのHDの中身をそのままネット上のディスクにコピーするというものです。これを使えば離れている2台のパソコンのHDを常に同じ状態に保つことができます。
ネット上に保管するわけですから、バックアップに重宝します。有名なものでJustsystemのインターネットディスクがあり、当初は一太郎に付属のサービスでしたが、近年では一般向け有料サービス中心になり、ディスク容量も増加しました。各種業者から同様のサービスが始まっております。
便利なインターネットストレージサービスですが、当然ネットへの接続速度が遅いと大変です。アナログ回線だと10MBくらいまでが限度でしょうか。ADSLやCATV回線を使っているなら、数十MBのデータのやりとりはなんでもないので是非おすすめです。
家と職場など2ヶ所以上でパソコンを使う人には、特にお勧めです。とは言え、自宅で使うだけの人にはやや性能が過剰かも知れません。このインターネットストレージサービスはIDとパスワードがあれば、WEBブラウザ上でファイルを開くことも出来ます。旅先のネットカフェで、自分のパソコンのデータを見ることも出来ますので、外出や出張が多い人にはお勧めなのです。
3.各バックアップメディアの性能比較
メディア名 | 使い勝手 | 容量 | コストパフォーマンス | 互換性 | 携帯性 | 信頼性 |
CD-R | C | B | A | A | A | C |
CD-RW | B | B | B | B | A | C |
FD | A | C | B | A | A | C |
外付けHD(据え置き) | A | S | S | A | C | E |
モバイルハードディスク | A | A+ | A | A | B+ | E |
USBメモリ | A | B | A | A | S | C |
DVD±R | C | A | A | B | A | D |
DVD±RW | B | A | B | B | A | D |
DVD±DL | C | A+ | B | C | A | D |
DVD-RAM(ケースなし) | A | A | B | B | A | C |
DVD-RAM(ケースあり) | A | A | C | C | A | B |
MO | A | B | E | C | A | A |
◆使い勝手
まず、データの読み書きがどれだけ簡単かどうかの判定から。FDや外付けハードディスク、USBメモリ、MOはファイル単位での書き換えができますから、使い勝手は良くなります。一方で、CD/DVD系は専用ライティングソフトが必要で書き込みに時間がかかるため、機動力はります。DVD-RAMのみFDなどと同様にファイル単位の書き込みに対応していますので、使い勝手はよいと言えます。CD-RW/DVD±RWは、再記録可能ですが、一度フォーマットせねばならず面倒です。この点、日常のファイル書き込みや同期に便利なのは、FD、USBメモリ、外付けHD、MO、DVD-RAMということができます。
◆容量
書き込み容量では、やはりHDが一番高く、他をダントツで引き離しています(数十GB〜200GBくらいの製品が一般的)。次にDVD系が続きます。DVD-DLは1枚で8.7Gb、DVD-RAMのカートリッジ付きのものは両面可能で9.4GBともに大容量を誇ります。その後を近年大容量化が進むUSBメモリとMOが続きます。ともに、2GBくらいまでは対応しています。CD-Rは大容量化したデジカメのデータ保存には役不足な感じもしますが、ワープロや表データなどの保存には十分余裕があります。やはり、FDはもはや少なすぎて役不足でしょう。
◆コストパフォーマンス
データ容量当たりの値段で計算すれば、一番コストパフォーマンスがよいのはもちろん外付けHDです。ただし、これは大単位だからこそ1MBあたりの価格が安いと言えるのですが。それ以外では、安ければ1枚60円くらいで買えるCD-Rもコストパフォーマンスが良いでしょう。DVD系も、-Rや+Rは比較的安めです。両面形のDVD-RAMは多少値が張りますが、それでも1GBあたりの価格ではUSBメモリよりは圧倒的に安いです。容量当たりだと、USBメモリとMOメディア一枚当たりの価格は同じくらいです。MOがメディアだと考えれば、MOが一番割高と言えるでしょう。
◆互換性
どれだけ多くの種類のパソコンに対応するかです。まずCD-R系はまずどのパソコンでも読めますし、USBメモリやUSBハードディスクはUSBポートさえあればどのパソコンでも読み書きが出来、互換性が高いと言えるでしょう。FDも同様のメリットがありましたが、今のパソコンはFDドライブ省略されていることも多いので、多少互換性は下がっています。DVD系はドライブの種類によっては読めないものもありますので、注意が必要です。専用ドライブを買い足さねばならないMOが一番不利です。
◆信頼性
バックアップメディアにとって一番大事なのは、どれだけ頑丈かということです。この意味で最悪なのが実はハードディスクです。ハードディスクは極めて精密で繊細な構造をしており、平均して4〜5年で使用不可能になると言われています。なので、外付けHDの場合は使えば使うほど寿命が縮むことになります(パソコン内蔵のHDも同じ)。大容量で使い勝手が良いHDですが、長期に渡るデータ保存には全く向きません。
続いて、安定性に問題があるのはDVD系メディアのうち、DVD-R系とDVD+R系です。これらは、レーベル面に文字を書いただけで記録面が痛むものもあるそうで、また品質の悪いものですと書き込みエラーも頻発するそうです。大容量でコストも安いDVD系ですが、安定性は悪いことを頭に入れる必要があります。DVD-RAMのうち、カートリッジがない片面のものも、あまり丈夫ではありません。CD-Rはさほど頑丈ではないと言われていますが、それでもDVD系よりはマシで、まだ頑丈です。USBメモリも、どこまで長持ちするかは未知数です。
メディアの中で頑丈なのはMOとDVD-RAM(カートリッジ付き)です。特にMOの堅牢さは群を抜いており、政府機関の重要データの保管メディアはMOが主力であるなど、とにかく現時点ではMOが他を圧倒的に引き離す信頼性の高さを誇ります。MOには劣るとはいえ、DVD-RAMのカートリッジ付きタイプは、ケース内部に収納され、通常条件では記録面が露出しないために安定性が高くなっています。DVD系で唯一信頼性の高いメディアであり、MOに次ぐ安定性を持っています。
4.印刷してしまうのは?
と今まで書いてきましたが、すべて電子上のことで完璧とは言えません。そこで、一番確実な方法としてアナログ媒体へのバックアップをとることをおすすめします。
−アナログ媒体−つまり、紙です。ようはワープロなど文書データやメールなど消えてほしくないものはすべて印刷して保存すればよいのです。紙に一回印刷してしまえば、HDが壊れようと、ウイルスに感染しようと絶対にデータが失われることはありません。
実は、学生の卒業論文執筆において、一番締め切りに近い時期はパソコンがフル稼働するため、負荷がかかって実はエラーがきわめて生じやすい状況にあります。卒論の時期にパソコンが壊れて泣いた人間が何人いるかわかりません。しかし、印刷しておけば最後の砦として一回書いたものは残ります。
書いたものは残るとして、もう一度打ち直す手間が生じますよね。でも心配はありません。技術が進歩して、打ち直す手間はなくなりました。OCRソフトを利用すれば印刷した文章をテキストデータに復元できます。これは、スキャナで読み込んだ文章をテキストデータに変換するソフトで、ほとんどのスキャナに標準で添付されています。
紙代とかインク代もかかりますが、リスクと確実性を考えれば重要な文章を印刷してバックアップしておくことは必ずしも高い投資ではないはずです。
デジカメ写真の場合は、写真屋さんでプリントしてもらう手もあります。この場合、家庭用プリンタで印刷するのと比べて、耐久性も高くなります。
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